【二十四節気】「小雪」2018
みなさま、こんにちは!
鈴木綾です(^人^)
少しずつ日照時間が短くなって、冬の気配が感じられるようになってきました。
公園の葉っぱも赤や黄色に変わりつつあります。
今回から冬の薬膳について書いていきますよ(^o^)
まずは陰陽のバランスについて。
冬至に向けて、陰の割合が増えてきますので、
・日照時間(陽)が短くなってくる。
・気温が下がってくる。
このあたりはみなさん、同じように感じているのではないでしょうか??
また、中医学には【整体観念】という「自然現象と同じようなことが人体でも起こる」というとらえかたがありまして、
この理論でいくと、冬の時期は人間の身体も陰の割合が多くなると考えることができます。
例えば、
・睡眠時間(陰)が長いほうが日中快適に過ごせる。
・外で遊ぶより家の中(陰)で過ごす時間が長くなる。
・気持ちが落ち込みやすくなる。
など。
冬の薬膳は腎に働きかけ、体を温めることが基本です。
そして、そのためには身体のバランスが整っていることが前提。
五行相関図を見てみると↓
こんな感じ。
腎のほうに伸びてくる点線矢印の出どころは脾。
この点線矢印は何かというと、中医学用語で「相克(そうこく)」と言って、(今回の場合は腎がきちんとはたらくように)「コントロールする力」です。
つまり、脾が丈夫でないことも、腎がきちんと機能できない原因の1つになりうるのですね。
というわけで、帰経が脾と腎になるもので、気と血を補って体を作る【補気補血】の薬膳、「鶏肉とかぼちゃの煮物」をご紹介します!
材料
・鶏肉(甘/温、脾・胃、温中・補気・益精)…250gくらい
・かぼちゃ(甘/温、脾・胃、補中・補気・化痰)…1/4カット
・しめじ(甘/涼、腎・肺、補血・通便)…1株くらい
・丁香(辛/温、脾・胃・腎、温中・補腎・助陽)…4〜5粒くらい
・酒(甘辛苦/温、心・肝・肺・胃、温経・散寒・沢膚)…大さじ1
・醤油(鹹/寒、胃・脾・腎、清熱・健脾・開胃)…大さじ2加減
・だし…1カップ
かたくちいわし(鹹甘/温、脾・胃・腎、健脾・補気・活血)
食材の風味を重視されるのであれば、しいたけなどがよいかと思います。
作り方
①だしをとる。
②鶏肉、かぼちゃ、しめじを一口サイズに切って入れる。
③調味料と一緒に煮る。
私も作ってみました↓
(煮崩れはご愛嬌♡)
実はこの献立は、私の母がよく作る煮物をベースに考えたものです(母の作る料理の中でベスト3に入るくらい好きです!)。
ちなみに、母の煮物はかぼちゃと鶏肉とピーマンで、醤油と砂糖が大さじ4ずつの味付けでした。
今回は薬膳の目的(補気補血)に沿うよう調味料を変え、丁香を加えてみました(丁香はスーパーのスパイスコーナーで「クローブ」という名前で手に入ると思います)。
*丁香(クローブ)↓
今回は4人分で作りましたが、一人暮らしのかたは4食分です。
私も一人暮らしなので、鍋いっぱいに作ってタッパーに4等分しました(>_<)
みなさんもぜひ作ってみてください!
「他に腎にいい食べ物はなんですか??」
「◯◯の体質におすすめの鍋の材料は??」
「私の母はこれをよく作ってくれました!」
などなど、中医薬膳に興味を持っているかた、薬膳に興味はないけどご飯トークしたいかた、ぜひご連絡ください☆
お待ちしています(^人^)
*鈴木綾についてはこちら
*中医学を用いた体質チェック(薬膳のすすめ)はこちら
*次回「大雪(だいせつ)」は12/7頃を予定しています。
お楽しみに☆
【二十四節気】「立冬」2018
みなさま、こんにちは!
鈴木綾です(^o^)
はー!!
先週はとても寒かったですね。
予想最低気温は11℃となっていたのに「現在気温6℃」なんて日もありました。
今日から「立冬(りっとう)」です。
とうとう冬がやってきましたよ!!!
身体を温めるような薬膳や食材をばんばん書いていきたいところですが、まずは秋のおさらいです。
「秋の養生法」
【陰陽のバランス】
・陰と陽の割合が半分くらいになり(=昼と夜の長さが一緒)、秋分からは日が暮れるのがどんどん早く(=陰の割合が多く)なっていく。
・気温を陰陽で分けると、陰は「低温」。
→冬に向け、寒さが強まっていく。
【五行のバランス】
・金行(ごんぎょう)に当てはまる気(この場合は外気のこと)は「燥」。
→これが強くなりすぎたり、免疫力が衰えていると「燥邪(そうじゃ)」となり、人体に影響が出てくる。
具体的な症状は、
◯のどや鼻が乾燥して、咳が出る。
◯肌が乾燥してくる。
◯痰が出やすくなる、など。
・肺が弱って、それが長く続くと憂いたり、悲しい気持ちが起こりやすくなる。
→逆もしかり。悲しい気持ちに浸りすぎたり、憂う期間が長くなると、肺が弱ってくる。
【秋を快適に過ごすポイント】
・肺を潤す(滋陰潤肺)。
・気を補い肺を強くする(益気補肺)。
・(風熱感冒)熱を冷まし体の表面から熱を逃がす(辛涼解表)。
【秋を快適に過ごすための食材】
(滋陰)黒豆、山芋、エリンギ、ほうれん草、梨、ぶり、豚肉、卵、チーズ、ヨーグルト、など。
(潤肺)はちみつ、アーモンド、いちじく、すだち、りんご、みかん、バナナ、など。
(益気)玄米、大豆、かぼちゃ、舞茸、ぶどう、いわし、鮭、羊肉、など。
(補肺)赤米、餅米、アスパラガス、甘酒、など。
(辛温解表)しそ、しょうが、ねぎ、わさび、など。
(辛涼解表)トウチ、ミント、菊花、葛など。
実は先週久々に熱を出し、漢方薬の一つである麻黄湯を飲みました(´-`)
(漢方と私が勉強中の中薬は違うものですが、「漢方」という言いかたが馴染みがあると思いますので、今回は漢方と呼びます。)
さすがマオウさま♡一晩で熱が下がりました!
(麻黄湯のことを私は尊敬の意味をこめて「マオウさま」と呼んでいます)
薬膳ではなく薬ですが、今回はこれをお話ししようと思います(^o^)
その時の私の症状は、
・最初頭が張り痛かったが、葛根湯を飲んでもよくならなかった(私は首凝り持ちで、頭痛の時は大抵葛根湯を飲んでいます)。
・数日前から、水っ鼻が出て鼻が詰まる。
・張りのある声が出ない。
・汗がすっきり出ない。
・寒気がある。
・頭がぼーっとする。
・背中が痛い。
・ふしぶしがだるい。
でした。
ちょうど生理と重なっていたので「生理痛かな…」と考えましたが、働いている途中で「いや、この背中の痛みは…熱だ!」と気づき、熱をはかったら37.0度。
私は平熱が35.2度とかなので、かなりの高熱です。
葛根湯とどちらを飲もうか迷いましたが、今回は、
・汗がすっきり出ず、背中が痛く熱もある。
・数日前から水っ鼻で、かつ鼻が詰まる。
・張りのある声がでない。
・葛根湯を飲んでも頭痛が治らなかった。
ということ、そして、
・連日、寒い時間帯に外に長時間立っていた。
・冷え性体質。
・悪化する前で体力があった。
という経緯があり、麻黄湯を選びました。
麻黄湯の組成と各性味は以下の通り。
・麻黄(辛微苦/温、肺・膀胱、発汗・平喘・利水)
・桂枝(辛甘/温、心・肺・膀胱、発汗解表・温経通陽)
・杏仁(苦/温、肺・大腸、止咳平喘・潤腸通便)
・甘草(甘/平、心・肺・脾・胃、補脾益気・潤肺止咳・緩急止痛・調和諸薬)
お気付きの通り、肺をしっかり温めて寒邪(かんじゃ、体に悪影響を与えている寒さのこと)を外に出させる生薬が配合されています。
(麻黄湯は辛温解表薬に分類されます。感冒についての詳細はこちら)
服用して寝たら、次の日は35.4度!
週末の予定もキャンセルすることなく楽しみました〜(>_<)
ところで、みなさんは「漢方いいよって言われたから飲んで見たけど、効かなかった!」という体験、されたことありますか?
これは中医学だと「証(しょう、◯◯病の病の部分のこと)」の誤りによるものと考えます。
今回の例でいうと、「頭が痛く」「ぼーっとして」「熱があり」「ふしぶしが痛い」ことから、あわてて「熱を下げなきゃ!」と解熱剤のようなものを選びがち。
しかし、よく考察するとこの熱は「寒いところに長時間立っていたため、肺が冷えて抵抗力がなくなり引き起こされた」わけですから、たとえ熱があっても(肺は)温める必要があります。
もし熱を冷ますような漢方(例えば銀翹散など)を服用していたら「熱は下がったけど体がだるく、鼻水が止まらない」という症状になっていたと思います。
→これが「熱に効くっていう漢方飲んだのにあまりよくならなかった…」
=いわゆる副作用、の仕組みです。
漢方が効かないのではなく、間違った薬を選んでいると言えますね。
身体の仕組みを少しでも理解していたり、ちょっとした知識があると、こんなふうに身近なもので体調管理ができるようになります!
そんなわけで、全体をざっくりとらえるところからスタートする中医学に私ははまっています(>_<)
「頭痛に葛根湯?どういう仕組みですか??」
「中医学…ちょっと興味持ちました」
などなど、なんだか気になるなぁというかたはぜひご連絡ください!
お待ちしています(^人^)
*私は医者でも薬剤師でもないので、薬に関しては、漢方を飲んだ自分の体験や中医学の視点からの説明をしています。治療を希望されるかたはお医者さんや薬局をお訪ねください。
*鈴木綾についてはこちら
*中医学を用いた体質チェック(薬膳のすすめ)はこちら
*次回「小雪(しょうせつ)」は11/22頃を予定しています。
お楽しみに☆☆
【二十四節気】「霜降」2018
みなさま、こんにちは!
鈴木 綾です(^o^)
朝晩冷えるようになってまいりました。
前回は感冒についてお話ししましたが、お風邪などひかれてないでしょうか??
寒暖差にやられやすい時期です。
いつも以上に身体を大切に過ごしましょう!
さて、秋ということで、金行に関わることを立秋からお話ししています。
ここに当てはまる感情は「憂、悲」。
秋になってわけもなく涙が出る…
なんだか悲しい気分になる…
繊細さが増しているような気がする…
そんなかたは「燥邪」の影響を受けて、肺が弱くなっているのかもしれません。
(感情、邪気、臓腑の五行相関図はこちら↓)
「秋分」では乾燥に耐えている肺に対して、血や津液を増やすことで肺を潤す【滋陰潤肺】の薬膳をご紹介しました。
今回は潤すのが間に合わない上、すっかり肺が弱ってしまった(乾燥するだけでなく気もなくなった状態)の場合のお話です。
具体的には、
・免疫力が減るため、風邪をひきやすくなる。
・鼻水が止まらなくなる。
・咳が続く。
などの症状が出てきます(感冒ですね)。
それが長く続くことで、気持ちにも影響が出てきます。
中医学では「心と体はつながっている」と考えるのですが、
それはこんなかんじ↓
肺が弱って、それが長く続くと憂いたり、悲しい気持ちが起こりやすくなります。
そして、その逆もしかり。
悲しい気持ちに浸りすぎたり、憂う期間が長くなると、肺が弱ってきます。
私が悲しい気持ちのときを振り返ってみると…
うつむいて涙をながしたり、
伏せったりしていることが多いような気がします…
泣きすぎるとしゃくりあげて呼吸がうまくいかなくなったり、
うつむいてばかりいると背中がまるまり、浅い呼吸になります。
肺は呼吸をすることで新しい空気を取り込み、規則的な呼吸は心臓と協力して血液の運行を調節しています。
乾燥を放っておいても、悲しみに長く浸かっていても、肺が弱る原因となります。
今回は肺がすっかり弱ってしまったあなたに、気を補って肺を強くする【益気養肺(えっきようはい)】の薬膳「赤米ごはんとろろがけ、蕪とエリンギの味噌汁」をご紹介します!
【益気養肺】の薬膳「赤米ごはんとろろがけ、蕪とエリンギの味噌汁」
材料(2人分)
・赤米(甘/温、脾・胃・肺、補中・補気)…小さじ2
・うるち米(甘/平、脾・胃、補中・補気・健脾)…1合弱
・山芋(甘/平、肺・脾・腎、健脾・補気・潤肺)…8cmくらい
・蕪(甘苦辛/温、脾・肺、補五臓・降気・滋陰)…1把
・エリンギ(甘/平、肺・腎、補陰)…大1本
・味噌(甘鹹/温、脾・胃・腎、温中・降気・解毒)…大さじ3加減
・出し汁(顆粒だしでOK。今回のおすすめはかつお)…2カップ弱
*かつお(甘/平、腎・脾、補気・健胃・益精)
・お好みで醤油(とろろごはん用)
作り方
①赤米とうるち米を混ぜ、1時間ぐらい水に浸し、炊く。
②山芋はすっておく。
③出し汁に切った蕪とエリンギを入れ、味噌汁を作る。
*季節柄お腹を温めたほうがよいと思い、味噌汁にしました。
私も作ってみました↓
お腹にも優しそうな薬膳になりました。
働き盛りのかたは肉が欲しいでしょうか…。
今回のように、気を補うときは帰経が脾にあるのもポイント。
五行相関図をもう一度見返してもらうと↓
脾から出た実線矢印は肺に向かって伸びています。
これは「相生(そうせい)」と言って、まるで親子のように、矢印の先の臓腑を育てるという意味。
脾を強くすれば、肺も丈夫にすることができる、というわけですね。
あと2週間もすれば立冬。
冬がやってきますよ〜!
今のうちに肺を鍛えておきましょう(>_<)
「心と体がつながってるっておもしろいな〜」
「五行、興味あります」
「私の好きな秋の食べ物は…」
などなど、中医薬膳に興味を持たれたかた、食べるのが好きなかた、ぜひご連絡ください!
お待ちしています(^人^)
*鈴木綾についてはこちら
*中医学を用いた体質チェック(薬膳のすすめ)はこちら
*次回「立冬」は11/7頃を予定しています。
(今年はちょっと遅いのね〜)
お楽しみに☆☆